2025年2月25日から26日かけて、能登半島地震によって被災した石川県穴水町、能登町、輪島市、七尾市等へ調査に伺いました。前編(初日)・後編(2日目)にわけて、参加した学生から報告を行います。まずは、B3(当時)中村による前編です。
2月25日の午前は、石川県穴水町に到着後、仮設商店街(あなみずスマイルマルシェ)の雁月さんにて昼食を取った。平屋の仮設建物には、飲食店や事務所、ヘアサロンなど9店舗が入っており、地域住民(主に高齢者)の利用者が多く(平日だったから?)、街のよりどころとなっていた。現場で作業を行う人たちの昼食場ともなっていた。
穴水町内の道は歪んだり、隆起したりした部分が多く、歩きにくい印象だった。
午後には石川県能登町姫地区に伺い、被災後の避難所運営にあたった方々のお話を伺った。以下にお話をまとめる。
地震発生時の行動
地震発生直後に大津波警報が発令され、住民はすぐに崖上の方へ避難し、16:20ごろには住民全員が避難を完了していた。実際津波は引き潮によって水位が上がった程度で、直接的な被害は受けなかった。避難したものの、避難者の物資の不足や、寒さ対策が十分でなかったため、姫地区の自主防災組織で対応に当たった。自主防災組織は3年前くらいから補助金を使い、およそ100万円分の支援物資や防災道具を蓄えていたため、十分な事前の備えが役に立った。また、波の様子を見ながら住民が一時的に家に戻り、各戸で備えていた非常食や水、防災グッズのほか、お節料理なども持ち寄り再び高台に上り、一夜を過ごした。
姫地区は下水道ではない住宅が多く、水が使えたことが不幸中の幸いで、トイレなどは川の水を汲んで流せば流すことができた。しかし、水道は使えなかったため、川水をタオルである程度のごみを取り除き、米を炊いたりお茶を沸かすなど、不自由な面もあった。給水車や公的な食料物資は届いていたものの避難所から遠く、また届いているという情報も届かなかったため、情報伝達の重要性が再認識された。
地震を受けて感じたこと
姫交流センターは子供たちの合宿所や会合の会場として日常的に使用され、キッチンやトイレ、風呂、シャワー、部屋数など避難所として十分な機能を果たしていたにもかかわらず、自主避難所となっており、指定避難所とはなっていなかった。自主や指定といった線引きは、緊急時には廃止するべきだと感じた。
地震発生が正月だったこともあり、帰省している若者が多く、様々な職種の住民が力を合わせて乗り切れたことが大きかった。特に元漁師の存在は大きく、何でもできるため、できないようなことがあっても何とかしようとする姿勢に感激した。自主防災組織や元漁師を中心に手伝いが広まっていき、縦の関係だけでなく、地域の輪がつくられた。
災害は必ず想定以上の規模の被害が起こるため、現在地域によってつくられているハザードマップはあまり役に立たないのではないかと感じた。
正月で帰省などにより人口が増え、避難所が足りない地域もあったため、改めて避難所の規模や数、非常食や防災グッズなどを整備する必要があると感じた。
話を聞いて感じたこと
正月という普段町にいない若者なども帰省していたことで迅速な避難や避難した後の行動がスムーズに進んだというプラスな面が見られた一方、人口が増加したことによる避難所や防災グッズの不足など、マイナスな面も見られたことから、災害対策には様々なことを想定しておかなければいけないことが改めて分かった。特に、発生する時間帯や季節、行事による地域の住民の増減など、細かいことまで想定して対策しておくことが重要だと感じた。
避難時の近隣住民同士で声を掛け合いながらの避難、避難所での食べ物のお裾分け、炊き出しや避難所運営のお手伝いなど、災害時には状況が同じ様々な人と一緒に乗り越えていく必要があるため、普段の生活から町の住民と積極的に関わりを持つことは防災の観点からも大切だと感じた。
自主防災組織の普段からの災害に備えた準備や、災害時の避難所開設や炊き出しの開設、元漁師や様々な職業の人たちを巻き込みながらの支援活動など、自主防災組織は地域にとって必要不可欠な存在であることを実感した。
災害の被害は想定をはるかに超えてくることが多いため、県や各市町村で掲載しているハザードマップだけでなく、自分の目で危険個所や安全に避難できるルート、確実な避難方法などを確認しておくことが大切だということが分かった。(珠洲は災害時にバスで集団避難する訓練を行っていたが、実際は道が寸断され、なにも役に立たなかったという話を受けて)
まとめ
今後予想されている南海トラフ地震では、能登半島地震よりもさらに規模の大きく、名古屋などの大都市にも甚大な被害が出ると予想されているため、防災グッズの整備、水・食料の備蓄、安全な避難経路の検討などを再確認し、災害が起きた際には自分の安全を第一にしながら、手伝えることは積極的に手伝い、少しでも人の役に立てるよう取り組みたい。




