3年生5名と萩原が、3月2日〜3日にかけて、福島県南相馬市小高区にある「小高教会幼稚園」の園舎を展示施設として活用するプロジェクトに参加してきました。
南相馬市小高区は2011年3月11日に発生した東日本大震災・福島第一原子力発電所事故に伴う放射能汚染によって、2016年7月まで避難指示がだされており、住民の方々は長期的な避難を余儀なくされた地域です。現在は居住可能なエリアですが、被災と長期的な避難の影響で、事故前の4割程度の人口まで減少しています。萩原は、2016年以降小高区の復興まちづくりの支援や、研究活動を継続して行ってきました。
小高教会幼稚園は、小高区のまちなかにあり、多くの住民の方々が通った思い出の詰まった場所でした。被災と避難の影響によって、廃園が決まり、園舎の建物も解体されることが一時は決定しました。しかし、当時の記憶、思い出を残したいと考えた卒園生の方々の働きかけによって、維持されることが決定し、小高区の歴史、震災・被災の記憶、幼稚園での思い出を伝え、継承する私設のギャラリーとして活用することとなりました。
ギャラリーとしての活用にむけては、2023年頃から東北大学建築学科の教員・学生を中心に、展示内容や園舎の改修方針は、卒園生や小高伝道所の牧師、地域住民の意向をベースとして検討し、2025年1月頃から本格的にセルフビルドによる施工が開始されました。(萩原は主に企画立ち上げ段階において展示内容の検討に参画)
今回は、東北大の教員・学生が主導的に実施する施工作業に参加させていただきました。私たちは主に展示室となる部屋の壁や床の塗装、展示用のパネルの制作を2日間行いました。
滞在中の2日間の間は、同じく小高区内に設けられた私設の伝承施設である「俺たちの伝承館」を見学し、被災・避難からこれまでに至る住民の方々のリアルで、切実な思いを知ることが出来ました。また、小高区でいち早く再開した宿泊施設である双葉屋旅館にお世話になりました。
私たちの滞在期間中には、完成にいたりませんでしたが、その後も東北大の皆さんが中心となり作業を進め、3月11日にプレ・オープンとなりました。正式な開館は4月12日を予定しているそうです。
災害によって、失われる場所や地域、そしてそこに宿る思い出や記憶があります。今回の取組は、それをできる限り維持し、住民の方々の目線で伝えていこうとする試みです。地域や人々の暮らしや心の再生のプロセスにおいてこうした活動は非常に重要です。研究室として、こういった活動の一部に参画することができ、とても貴重な経験となりました。
南相馬市小高区は、名古屋から遠い場所にありますが、再び訪問し、完成したギャラリーを訪れてみたいと思います。





